年を取ってこの仕事をしていると、自分が別の仕事をしていたらと思いを馳せることがある。
そんな時、バーをやっていて良かったと思う。老若男女、色々な仕事をされている方がやってくるバーは、そんな自分の望みをかなえてくれる点がお気に入りだ。
人生と仕事をとことん楽しむ男
今日は不定期に出没する常連のタナカを紹介したい。元バンドマンのホストで野心家で、私がやり直しても多分そうなることはないだろうなという人生と仕事を楽しんでいる男だ。
外見は今どきの若者という感じで、スタイルがよく、黒髪とあまり派手ではないが、大体の人が見てイケメンだと思うだろう。地元がこの辺りということもあり、たまに顔を見せてくれる。
タナカ:ホストの仕事ですか? 楽しいですよ。結構接客業がそもそも好きだったので、僕もバーテンダーになるか考えていたんですよね。でも、バンドの時に色々頑張っていた分の借金あって、お金稼げそうなのってことでホスト始めたんですよ。
私:ああ、チケットノルマとか、そういうのがってことかな? でもそれなりに売れていたバンドだったと思うのだけど。
タナカ:そうですねー、自分のチケットノルマとかは機材代はまあどうにでもなったんですけど、バンドメンバーが仕事決まらないときに世話したりとか、ま~色々自分が頑張って助けてたんですよ。でもまあ、やっぱ無理しすぎたなって感じです。
私:バンドは一人できないから助け合いが大事だよね、でも私もバンドしていた時はそこまでしたことなかったよ。
タナカ:他の人にも言われました。そういえば、マスターもバンドしていたんですね。やっぱセッションしたくなる時あるので、そのうち、どこかのスタジオ借りて遊びましょう。このバーで面子集まると面白いですよね。
私:いいね。まあ、気長になりそうだけど。
人が楽しそうに仕事をしているを見るのは良いものだ
私:ところでホストの仕事ってどういうことをしているの?
タナカ:営業前はラインやSNS確認しながら、ヘアメイクとかの営業準備してます。僕はちょっとゆっくりめに出勤してますね。あとは指名とかが最近増えているので、そのお客様を楽しませるのに全力です。営業とミーティング終わったら、酒飲みすぎているので家に帰って寝てます。
私:営業前も含めると、本当にずっと接客している感じなんだね。
タナカ:楽しいですよ、結構。やっぱり向いている仕事なんだなーって思います。売れてない頃はすごいきつかったですけど。
そういって笑うタナカは、本当に楽しそうだった。自分がすることはないであろう仕事だが、こうやって楽しんでいる人を見るのはとても楽しい。
またしばらくは会えないだろうが、次の来店が楽しみなお客さんだ。