今日はカクテルとフルーツについてのお話。
普段は使い勝手の良い冷凍フルーツを使うが、ものによっては少し値の張るフレッシュフルーツを使うときもある。
ただ、使いきれず、余ってしまうこともあり、仕入れの匙加減が難しい。まったく仕入れないということもできるが、それでは幅が狭くなってしまうのであまりやりたくない。
フルーツを食べていると昔に比べて美味しくなったなと感じることが多い。品種改良が進み、努力が実った結果だ。
漠然と作るだけではいけない
そこで考えるのが、カクテルに使うとしても、昔のままの分量で良いのかというところ。特に糖度が高いイチゴを使ったストロベリー・マティーニやストロベリー・ダイキリを作る場合などは調整が必要だ。
ただ漫然と作っているだけだと、いつの間にか味のバランスが崩れてしまうというところに気を付けておかなくてはならない。ストロベリーリキュールを使う場合は考えなくても良いが、素材に合わせて最善の選択肢を取っていきたい。
自分がそこまで腕の良いバーテンダーといえるものではないと思うのだが、お金を払ってもらう以上は値段以上の満足を与えていきたいというのは開店当初からの心構え。妻と一緒に始めたバーだからこそ、妻に恥じないような一品を出し続けたいものだ。
妻の手厳しさがカクテルを美味くした
キミコはフルーツが好きだったので、いつも作るときは緊張したものだ。私が昔、あまり作りなれていないフレッシュフルーツを使ったカクテルを出したときに言われた言葉がある。
「これじゃ、フルーツそのまま食べたほうがいいよ。せっかくお酒と合わせるんだから、1+1以上にしないとダメ」と。
今思い出しても手厳しい言葉だが、私の芯になっているからありがたい。何度も試行錯誤をしたなと思い出ばかりが蘇る。合格点をもらったときは満面の笑みで、「そうそう、これこれ。おいしいよ」と言ってくれたものだ。
「あるがままにしちゃだめだよ。手を加えていけるものは加えていかないと。夫婦だって一緒。お互いでプラスになるように、色々言っていかないとね」とも付け加えて。
最初の書き出しは真面目に書いていこうと思っていたが、やっぱりどこかで妻との過去が筆を進めさせてくれる。今度、キミコが食べたことのない品種のイチゴでも使って、とっておきのストロベリー・マティーニでも作って仏壇に供えよう。
たぶん、これ以上ないほど満足してくれるはずだ。あまおうや白雪、使ったことないイチゴでとっておきを届けてやらなくちゃな。