無趣味という大人の病
仕事は順調そうだが、ふとした瞬間に自分の人生、これでいいのだろうかという虚無感に襲われる。休日は泥のように眠り、起きたら夕方。スマホを眺めていたら一日が終わっていた。
何か趣味でもあればと思うものの、何をすればいいのか分からない。多くのビジネスパーソンが、このカウンターで同じ悩みを吐露していく。
私に言わせれば、趣味を持たない大人は、味のないクラッカーをひたすらかじっているようなものだ。栄養(仕事)は摂れても、彩りや深みがない。大人の趣味とは、単なる暇つぶしではない。それは、自分という人間の輪郭をはっきりさせ、乾いた心に潤いを与えるための極上のスパイスなのだ。今夜は、そんなスパイスの見つけ方について、少し語ってみようか。
童心に帰ることが探求の第一歩
やりたいことがないと嘆くあなたに、一つ質問をしよう。あなたが子供の頃、時間を忘れて没頭していたことは何だっただろうか。親に呼ばれても気づかないほど熱中したブロック遊び、図鑑をボロボロになるまで読み込んだ昆虫採集、あるいは画用紙いっぱいに絵を描いたこと。大人の趣味のヒントは、実は遠い過去の記憶の中に眠っていることが多い。
大人になると、どうしても役に立つかお金になるか恥ずかしくないかという損得勘定や世間体で物事を判断してしまう。だが、趣味の本質は純粋な好奇心にある。子供の頃にブロックが好きだったなら、陶芸やDIY、プラモデル作りにハマる素質があるかもしれない。
走り回るのが好きだったなら、ランニングや登山が向いているだろう。理屈や効率を一度脇に置き、直感が楽しそうと反応するもの。それこそが、あなたにとっての正解だ。難しく考える必要はない。気になったらとりあえず手を出してみて、違ったらやめればいい。大人の特権は、その試食のための資金があることなのだから。
趣味がもたらす精神的なデトックス効果
なぜ、忙しい大人にこそ趣味が必要なのか。それは、趣味が仕事とは別の居場所を作ってくれるからだ。会社での役割、家庭での責任。私たちは常に何かを背負って生きている。だが、趣味の世界に没頭している時間だけは、誰の上司でもなく、誰の親でもない、ただの自分に戻ることができる。
カメラのファインダーを覗いている瞬間、キャンプで焚き火を眺めている瞬間、楽器の練習に打ち込んでいる瞬間。そこには、仕事のプレッシャーや人間関係の悩みが入る隙間はない。この没頭こそが、脳をリフレッシュさせ、精神的なバランスを整える最強のデトックスとなる。
また、仕事以外に情熱を注げるものを持つことは、アイデンティティのリスク分散にもなる。もし仕事で失敗しても、私にはこれがあると思えるものが一つあるだけで、心は驚くほど折れにくくなるものだ。
仕事との距離感で選ぶ2つのアプローチ
趣味を選ぶ際、もう一つ考えておくべき視点がある。それは、仕事とどうリンクさせるかだ。
一つは仕事に活かせる趣味を選ぶ道だ。例えば、語学学習、読書、プログラミング、資格取得などがこれに当たる。この趣味はキャリアアップに直結し、自己成長の実感が得やすいため、上昇志向の強いあなたには心地よい刺激になるだろう。趣味と実益を兼ねた、非常に合理的な選択だ。
もう一つは、あえて仕事と完全に切り離した趣味を選ぶ道だ。普段デスクワークで数字ばかり見ているなら、休日はサーフィンで体を動かしたり、料理で五感を使ったりする。仕事とは真逆の脳を使うことで、完全なオンオフの切り替えを図るのだ。効率とは無縁の、ただひたすら好きを追求する時間は、仕事で凝り固まった思考を柔らかく解きほぐしてくれるだろう。
どちらが良い悪いではない。今のあなたが求めているのは成長なのか、それとも癒やしなのか。今の心の渇き具合に合わせて、カクテルを選ぶように趣味を選べばいい。
人生は長いようで短い。仕事だけで終わらせるには、世界はあまりにも広くて面白い。まずは今週末、何かひとつ、新しい扉を叩いてみてはどうだろう。最高の暇つぶしが見つかることを祈っているよ。
